「自分の歯で噛む」
みなさん、新年度が始まりました。新型コロナ感染症の状況も未だ落ち着きませんが、共により良い学びを目指してまいりましょう。
大学での学びは「高い専門性」を身につけると共に、「生きる上でのさまざまな事象」に関心をもつ態度が肝要となります。自分の専門領域について深く掘り下げるタテの方向と、知的興味を拡大していくヨコの方向との合わせ技です。
まずは、あらゆるものについて、自分で咀嚼しようとする態度を大切にしてください。政治・経済・法律・音楽・ファッション・アート・芸能......、身の周りに関心をもちましょう。そして、その際に頼りとなるのは、専門の学びでつちかった思考の順序や方法なのです。
たとえ少々歯が立ちそうにない案件でも、とりあえずいったん自分で噛みつくような態度がポイントです。そうしないと、いつの間にかやって来る情報が自分の意見になってしまいます。次から次へといろんな情報がやってきますからね。時には情報で操作されてしまう人になる危険性もあります。
あちこち噛みつきながら、高い専門性を掘り進めていくと、ある時、さまざまな要素・領域がバババ~ッと、つながり始めたりします。これはとても大きな知的喜びですよ。ぜひ在学中に味わってもらいたい、ぜひ味わわせてあげたい、そう思います。
いずれにしても、大学での学びには、皆さんひとりひとりの創意工夫が必要となります。ことに現在のように感染症による制約が多い状況では、なおさら工夫が求められます。
みなさんの研鑽と活躍を大いに期待しています。
学長 釈 徹宗